地元の人が日頃飲むお酒を丁寧に作る

柄酒造 / 柄 宣行さん

広島県東広島市には西条町に7つ、安芸津町に2つ、黒瀬町に1つ、計10つの酒蔵があります。

今回取材させていただいたのは、安芸津町にある柄酒造社長、柄 宣行さんです。

瀬戸内海に位置する安芸津町。今では牡蠣が有名ですが、多いときには300人以上の杜氏を輩出した町でした。酒造りの技術を請われて、安芸津から全国に2,000人以上の杜氏・蔵人が、出向いたそうです。当時、安芸津にいたほとんどの男性が酒造りの経験があったそうです。

 

そんな多くの杜氏を輩出した町で日本酒を作る柄酒造が大切にしていることは、地元の人が日頃飲むお酒を丁寧に作ること。安芸津から全国各地へ酒造りにいく杜氏さんが、安芸津のお酒を飲んだときに「こりゃあ、いいね」と頷きながら飲んでもらえるお酒を作る。「故郷の安芸津のお酒がこんな酒をつくりよんかぁ」と言われるわけにはいかないんでね、と柄さんは言います。

27歳で安芸津に戻り、酒蔵の仕事についた柄さん。その当時は安芸津に5軒あった酒屋さんも今では2軒に。日本酒の作り方も大きく変わったと言います。昔に比べて、日本酒も個人の嗜好に合わせて、いろんな種類のものを作るという時代になって来ているそうです。

 

その変化に対して「り手としてはいろんな種類のものを求められている時代の方が面白いよね。」と話す柄さんですが、実は一級建築士の資格をお持ちだとか。話しは柄さんの幼少期まで遡ります。

 

小さい頃からものを作ることや分解することが好きで、よく壊しては母親に怒られたと笑いながら話す柄さん。ものづくりに没頭する時間はうまくいかないことが多いから好き。それは柄さんご自身のお酒との向き合い方にも関係します。

 

自分の中での最高の日本酒って何だろう?華やかな香りがいい酒と思っていた時期もあればでも、味の広がりがいいと思う時期もあり、ぐびぐび飲めるお酒がいいのかなと思う時期もあり。答えを探すようで、答えが出ないことを楽しんでいるようです。

 

2018年の西日本豪雨災害で大きな被害を受けた柄酒造。あまりの被害の大きさに災害直後は酒造りを続けることを諦めかけたそうです。その時、柄酒造を支えたのはボランティアに駆けつけてくれた地元の方々。災害から2年経った今、改めて人とのつながりは大事にしていきたいという柄さん。これからも柄さんご自身が思う最高のお酒を探し続けます。

 

【この記事を書いた人】佐藤 歩

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